ドイツ留学で出会った食卓の記憶を再現する一軒
店主がもともとドイツへ渡ったのは音楽を学ぶためだった。けれど現地で暮らすうちに、毎日の食事に宿る素朴で力強い味に心を奪われたという。帰国後、その記憶を日本の食材と向き合いながら皿の上に再構成する道を選び、Klingenthal(クリンゲンタール)を開業した。飾りすぎない料理で一人ひとりの食事の時間を丁寧に満たす、という姿勢は開店から一貫して変わっていない。
個人的には、カウンター越しに見える調理の手つきがどこまでも落ち着いていて、それだけで期待が高まった。石見ポークを薄く伸ばして揚げ焼きにしたシュニッツェルは、季節やオリジナルのソースで表情が変わるため繰り返し注文する常連も多い。アイスバインは塩漬けの豚すね肉をスパイスと一緒に長時間煮込んでおり、箸で崩れるほどやわらかい。プレッツェルやソーセージ類もしっかり揃い、一軒でドイツの食卓をひと通りたどれる構成になっている。
冷蔵コンテナ直輸入が支えるビールの鮮度
樽生ビールはドイツから温度管理された冷蔵コンテナで直輸入し、到着後も厳密な温度帯を維持している。特注サーバーから注がれる一杯は泡のきめが細かく、香りの立ち方が明らかに違う。ボトルビールも常時20種類以上を棚に並べ、醸造所ごとの個性を料理とあわせて試せる。ワインやカクテル、ソフトドリンクのラインナップも厚く、ビールを飲まない同伴者がいても選択肢に困らない。
「ここのビールを飲んでから他で飲めなくなった」という声が口コミでは目立つ。輸入元から注ぎ方まで一本の線で管理しているからこそ、グラスの中身にブレがない。料理との相性を店主に相談すると、好みや気分に応じた組み合わせを提案してくれるので、ドイツビール初心者でも気後れせず楽しめる。こうしたやりとり自体が、一杯の価値を押し上げている部分はあると思う。
25席のコンパクトな空間に詰まった居心地の工夫
木を基調にした店内は総席数25席。カウンター6席、テーブル席、掘りごたつ4名卓が3つという構成で、一人飲みから少人数の集まりまで目的別に席を選べる。12名以上なら貸切にも対応しており、誕生日や記念日の会食で利用するケースも少なくないようだ。東武スカイツリーライン獨協大学前駅西口から徒歩約9分、駐車場は2台分を確保している。
掘りごたつ席は靴を脱いでくつろげるため、女子会や地元の仲間うちの飲み会で「つい長居してしまう」という感想が寄せられている。カウンターでは調理の音や香りを間近に感じながら店主と言葉を交わせるので、常連が自然と増えていく構造になっているのだろう。席数が限られている分、隣のテーブルとの距離感がちょうどよく、騒がしすぎない空気が保たれている。
ランチから宴会コースまで幅のある使い方
ランチタイムにはシュニッツェルやソーセージといった本場仕込みの一品をディナーより手頃な価格で出しており、初めての来店にも向いている。夜はカウンターでビール一杯だけという居酒屋的な使い方もでき、仕事帰りにふらりと寄る常連の姿が平日でも見られる。Klingenthal(クリンゲンタール)は本格的なドイツ料理店でありながら、日常づかいのハードルを意識的に下げている。
宴会向けには2つのコースを用意。8,000円の飲み放題付きコースは前菜盛り合わせからザワークラウト、プレッツェル、ソーセージ、そしてアイスバインまで名物を一通り網羅した内容で、直輸入の樽生ビールやワインも含まれる。6,000円のライトコースは生ハム・チーズの前菜やフラムクーヘンを中心にまとめてあり、飲み放題付きなので軽めの集まりに使いやすい。貸切やサプライズの相談にも応じている。


