定食屋として始まり、代ごとに広がった献立
久家の歩みは、気軽に楽しめる町の定食屋として暖簾を掲げた初代から始まる。創業から60年以上、鍋屋町の同じ地で営業を続けてきた。二代目は経験と技をもって寿司を中心とした本格和食を出すようになり、洋食屋で修業した三代目は独自のカレーを持ち込んだ。そして四代目の主人が今の久家を切り盛りしている。代替わりのたびに料理の幅が増えていった経緯が、丼ものから寿司、洋食、会席まで揃う今の品書きに刻まれている。
創業時から続くカツ丼は、ランチで半数以上の客が注文する看板だ。大和ポークに生パン粉をふんわりまとわせ菜種油で揚げたカツに、出汁をたっぷり含ませたとろとろの卵を合わせる。三代目由来のカレーは一晩寝かせて旨味を凝縮させ、エビフライカレーやカレーうどんで供される。芳飯弁当は弁当コンテストで優秀賞を得た品で、五色の具を奈良産にこだわって盛り付ける。
節目の食事に寄り添う仕出しと個室
久家は仕出しでも地域に頼られてきた。慶事・法事の会席膳、祝い事の松花堂、会議向けの弁当、家庭で楽しむ幕の内、寿司やオードブル、おせち、結納やお食い初めの料理まで幅広く手がける。お食い初めには焼鯛を添え、生後100日前後の大切な日を彩る。会席の要素を凝縮した野立て三段弁当は、役員会など会議の席でも好まれている。配達や出張料理にも応じ、予約は2か月前から前日まで受け付ける。
店で会席を囲むなら2階の個室がよい。和を基調とした2部屋は椅子とテーブルのお座敷で、4名から利用でき、つなげれば16名まで貸切にできる。会席には決まった形がなく、予算と要望に合わせて一席ずつ仕立てる仕組みだ。近鉄奈良駅から徒歩4分と通いやすく、観光の途中に立ち寄る客も少なくない。
素材の出どころが見える一皿
久家の料理を支えているのは奈良の食材だ。大和ポーク、奈良県産の牛肉、大和肉鶏、旬の大和野菜といった地元の産物を使い、季節ごとに一皿へ仕立てる。名物カツ丼の豚肉は大和ポーク、卵はグリーンファームから届く新鮮なものと、看板メニューにまで素材の出どころがはっきり通っている。四代の主人が守ってきたのは、職人の技を活かして一品ずつ丁寧に手をかける仕事ぶりだ。個人的には、代を重ねても味への構えを崩さないその一貫性が、この店の芯の強さだと感じた。仕出しの受付は平日10時から17時、土日祝は10時から15時。電話は0742-22-4127で、注文の重なる土日祝は早めの相談が案内されている。


