北陸の魚介と金沢おでんを一皿に凝縮する店
のどぐろ、本ズワイガニ、職人の手で仕立てられた刺身——北陸の海が誇る素材を、定食SAKABAとも家は昼夜を通じて提供している。冬場に登場する本ズワイガニは季節限定で、毎年この時期だけを狙って足を運ぶ常連もいるという。金沢おでんは具材の芯まで出汁がしみ込んでおり、口に運ぶたびに素材の輪郭がじんわりと浮かび上がる。海鮮丼や焼き物と組み合わせれば、北陸の食卓がそのまま目の前に現れたような一食になる。
個人的には、金沢おでんの出汁の奥行きがとりわけ印象的だった。じっくり煮込まれた大根やすじ肉には、化学調味料では出せない滋味が染みている。観光客が写真を撮る姿もよく見かけるらしく、SNS経由で来店する人も少なくないという声が目立つ。旬の食材が入れ替わるたびにメニュー構成が変わるため、リピーターにとっては再訪の動機が途切れにくい仕組みになっている。
石川の地酒8種以上と加賀棒ほうじ茶割という選択肢
石川県内の蔵元を中心に、常時8種類以上の日本酒を取り揃えている。銘柄は季節ごとに入れ替わるため、同じ酒が次の訪問時にはもう棚にないこともある。金沢おでんや刺身との組み合わせを意識して選定されており、料理と酒の距離が近い。日本酒に馴染みがない人でも、スタッフに好みを伝えれば一杯目の候補を提案してもらえる。
金沢ならではの加賀棒ほうじ茶割は、ほうじ茶の香ばしさと焼酎がよく合い、食中酒として頼む客が多いようだ。ビールやハイボール、ソフトドリンクまで幅広く並んでいるので、グループ内で飲む・飲まないが分かれても困らない。飲み放題付きコースも用意されており、宴会利用の際はあらかじめ予算を固定できる。日本酒好きが一人で静かに飲む夜にも、仲間と杯を重ねる場面にも対応する懐の広さがある。
20種超の定食が昼にも夜にも並ぶ理由
定食SAKABAとも家のメニュー表を開くと、魚介系から肉系まで20種類以上の定食がずらりと並ぶ。ランチ帯は近隣で働く人たちが手早く食事を済ませに来る一方、夜は一品料理を数皿取って酒と合わせるスタイルの客が増える。同じ店でありながら時間帯によって空気が切り替わり、定食屋と居酒屋の二面性を自然に行き来している。旬の地元野菜や鮮魚がその日の仕入れで変わるため、日替わりの内容を楽しみにしている常連も多い。
「定食の量がしっかりしていて、値段を見て驚いた」という口コミは複数見受けられる。1,000円台の価格帯が中心で、観光地価格に慣れた旅行者には特に割安感があるらしい。大切な会食にも使える見栄えの料理が、普段使いの価格で出てくるところに、この店の立ち位置がよく表れている。お酒が進む一品料理も充実しているため、定食を食べ終えたあとにもう一杯だけ、という流れが自然に生まれやすい。
近江町市場徒歩2分、観光にも日常にも開かれた一軒
近江町市場駅から歩いて約2分。兼六園や金沢城も徒歩圏内に収まるこの立地は、観光の合間に立ち寄る店としては申し分ない。それでいて価格帯は地元の定食屋と変わらず、観光地にありがちな割高感とは距離を置いている。地元住民がふらりと夕飯を食べに来る風景と、旅行者がのどぐろに歓声を上げる風景が同じフロアで同時に起きている。
カウンター席はひとり客がふらっと座りやすい配置で、仕事帰りの一杯にちょうどいいと感じる利用者も多いようだ。一方で貸切予約にも対応しており、歓送迎会や記念日といった用途にも使われている。少人数から団体まで受け入れる席構成が、客層を限定しない空気をつくり出している。近江町市場で買い物をした帰りにそのまま暖簾をくぐる——そんな使い方が似合う店だ。


