宮崎の味を炭火で仕上げる用賀の居酒屋
炭焼処 宮崎よかばんの看板料理であるもも焼きは、焼き鳥とはまったく別物の調理法で仕上げられる。カウンター越しに炎が豪快に立ち上がり、鶏肉の表面に炭火の香ばしさをまとわせながら、内側にはジューシーな肉汁を閉じ込めていく。噛むたびに脂の甘みが口の中に押し寄せてくる感覚は、一度食べると記憶に残る。チキン南蛮にはしば漬け入りのピンク色のタルタルソースが添えられ、見た目の華やかさと衣との調和が印象的だ。
個人的には、客席で直接バーナーを使って炙る「炙りしめ鯖」の演出に驚いた。表面をしっかり焼くことで鯖の脂がじわっと溶け出し、外はパリッと中はふんわりした仕上がりになる。鳥刺しはささみや砂肝など部位を選べる形式で、素材そのものの鮮度がダイレクトに伝わってくる。大根のから揚げという変わり種もあり、しっかり味の染みた大根をカリッと揚げた一品は常連の間で評判が高いという。
「いい夜」を共有する店長のスタイル
店名の「よかばん」は九州の方言で「いい夜」を意味している。店長の信樂龍一郎氏がこの名前に込めたのは、来店した人と一緒に気持ちのいい夜をつくっていきたいという思いだった。スタッフと客が名前で呼び合うほど距離感が近く、初めて訪れた人でも自然と会話に入っていける空気がある。バイク好きの店長がアクセル全開で元気よく営業する姿勢が、店内の温度を一段引き上げている。
20代の若い客層から年配の方まで幅広い世代が集まるのは、一人飲みでも宴会でも居心地よく過ごせる懐の深さがあるからだろう。古い建物の骨格を活かしつつ照明で雰囲気をつくった店内は、古民家のような落ち着きを感じさせる。女子会や忘年会にも対応しており、「ふらっと来ても疎外感がない」という声が目立つ。一人で静かに飲みたい夜にも、仲間と騒ぎたい夜にも、どちらにも応えてくれる場所だ。
九州の芋焼酎を店主が選んで提案する
宮崎限定の「木挽」はすっきりしたキレと爽やかな甘みが持ち味で、宮崎料理との相性が抜群に良い。長年地元で愛されてきた「本霧島」や、希少なプレミアム銘柄「伊佐美」など、九州産の芋焼酎がずらりと並ぶ。それぞれの味わいを熟知した店主が、好みや料理に合わせて一杯を選んでくれる。ハイボールやカクテルも揃っているため、焼酎に馴染みがない人でも困らない。
通常はアラカルトでの注文が基本だが、相談すれば5,000円(税込)の食べ飲み放題コースにも対応してもらえる。テイクアウトも実施しており、炭火仕上げのもも焼きやチキン南蛮を自宅で楽しむ人もいるようだ。「仕事帰りに一杯だけ引っかけて、ついでにもも焼きを持ち帰る」という使い方をしている常連もいると聞く。
用賀駅徒歩5分・ふらりと寄れる距離感
東急田園都市線の用賀駅から歩いて約5分、東京都世田谷区用賀4丁目13-12の1階で営業している。営業時間は18時から24時まで、定休日は不定休。支払いは現金とクレジットカードに対応しており、お通し代として一人500円(税込)がかかる。全席喫煙可で、カウンター席とテーブル席を用意している。
予約は電話(03-6411-7767)や食べログから入れられるが、予約なしで飛び込んでも席が空いていればすぐ案内してもらえる。「予約しなくても入れた」と感じる利用者も多いようで、近隣住民がふらっと立ち寄る光景は日常的だという。席の希望がある場合は予約時に伝えておくとスムーズだ。用賀駅周辺で宮崎料理を出す店は限られており、遠方から足を運ぶ客も少なくない。


